2010年12月13日月曜日

先日、11月2日~12月12日迄、京都国立近代美術館で開催
されていた、「上村松園 展」に行って来ました。
開催期間中、前期・後期で一部の作品が展示変更となります。
11月中は多忙でしたが、何とか今月12日の末日迄に行く事が
できて良かったです。

一番のお目当ての、代表作 『序の舞』 が前期展示で
見る事が叶わず、一寸残念。
でも、後期展示の 『焔』 を見る事ができて、嬉しかったです。

※解説 『焔』1918年。
    謡曲「葵上(あおいのうえ)」に取材した作品。
    光源氏の元恋人・六条御息所は光源氏の正妻・葵上に
    嫉妬し生霊となってしまう。顔の表情、髪の毛をくわえる
    ポーズなどによって、執拗な嫉妬の念が表わされている。 

等身大もある様な、大きな絵に描かれていた女性の表情は、
絵画の価値も分からない私の様な無粋な者でも、”くぎづけ”
にされてしまう、恐ろしい魔力で惹き付けられます。

どんな女性でも、誰もいない部屋で、一人鏡に向かった時
そこに映る自分の顔のその奥に、一度は覗き見た事が
あるであろう、自分の中に生息する、女という生き物を
発見した時の驚愕。般若の棲む面。

人生の年輪を重ねてこそ描く事ができるのでしょう。
と、作者と作品の素晴らしさに圧巻の溜め息。
沢山の素晴らしい作品を鑑賞できて、満足でした。

その後、紅葉の名所の、東山の永観堂へ行きました。
作家の渡辺淳一氏も、『紅葉を見に訪れた』 とエッセイ集
「触れ合い効果」に書いておられたことを思い出しました。
紅葉の見頃は過ぎていましたが、見学者がピークを
過ぎていた様子で、静寂なお庭の枯れ行く風情を堪能
できました。
本山の裏にそびえる東山の木々は、ハイビジョン画像
では到底捉えきれない、極彩色の雄大な懐で私を
包み込んでくれました。

紅葉の落ち葉が水面に模様を描く、前庭の池には、
数匹の鴨が、鮮やかな光沢のある緑色の頭を
数字の ”2” の字の形のまま、季節の音に
遠慮するみたいに、静かに泳いでいました。

夕方、伏見稲荷駅の近くに住む、90歳の
伯母さんを訪問し、お元気そうなご様子に
安心して帰路に就きました。